金融データの方法論 – 鉱業2025
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本プロジェクトは、東南アジア、中央・西アフリカ、ブラジルにおける熱帯の天然林に影響を与えている、牛肉、大豆、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、熱帯木材(森林リスク部門)のサプライチェーンに直接関与している300社以上の企業が受け取った金融サービスについて評価しています。
金融データ
選定された企業に対して提供された企業融資と引受額の算出においては、ブルームバーグ、TradeFinanceAnalytics、IJGlobalの金融データベース、企業報告書(年次、中間、四半期)、その他の企業発行物、会社登記簿、報道記事、アナリストレポートを使用しました。調査対象期間は、ソフトコモディティについては2013年から2024年9月まで、移行鉱物(トランジション・ミネラル)企業については2013年から2024年12月までとしています。選定された企業の債券と株式への投資については、トムソンEMAXX とブルームバーグのデータから特定しました。ソフトコモディティについては2024年9月、移行鉱物の採掘企業については2025年6月の入手可能な最新の提出日を基準としています。
ブラジルの森林リスク企業への資金の流れを特定するために、上記に加えてブラジル国立経済
社会開発銀行(BNDES)の「透明性」ポータルサイトとブラジル中央銀行のポータルサイトも使用しました。
この調査は、選定した企業とと何らかの取引関係がある金融機関との個別契約レベルの情報を提供します。選定した6種類のソフトコモディティ事業を行う調査対象企業300社以上のうち、資金を提供した金融機関、資金提供額、開始日が特定できる、調査期間内の資金提供が確認されたのは230社だけでした。
鉱業関連のデータセットについては、世界中で各鉱物の探査および採掘に従事する最大手130の企業グループを選定しました。
森林リスク部門以外の事業活動がある企業については、全体の資金提供額のうちで森林リスク部門事業に帰すると合理的に考えられる資金提供額を正確に示すために、該当額を減額しました(調整係数を参照)。。入手した財務情報が投資目的や親会社グループ内で資金提供を受けた部署を特定していない場合には、同社の森林リスク部門の事業を親グループの全事業と比較することにより減額率を個別に算出しました。また、本調査の対象範囲内の複数の地域で事業を行っている企業については、追加の調整係数を算出しました。
方針評価
「金融と森林」方針評価方法論の目的は、金融機関が森林破壊やそれに関連する環境・社会・ガバナンス問題への関与や寄与を回避するために採用した融資・引受および投資方針の質と堅牢性を評価することです。本方法論に含まれる35の評価基準は、国際合意や条約(主に国際労働機関(ILO)や国連環境計画(UNEP)などの国連関連機関によるもの)および世界の企業コミュニティや金融セクターにおける森林リスク産品関連のベストプラクティスに基づいています。各評価基準ごとに採点表が設定されていて、金融機関が基準に関して明確に誓約・取り組みを行い、取引先企業およびその供給業者に方針を適用している場合は10点、基準に関する誓約・取り組みが部分的である場合(多くは、取引先企業の供給業者に方針が適用されていないことが理由)は8.5点が付与されます。35の基準全ての得点は合計され、その後0~10点の範囲に正規化されます。
ソフトコモディティの方針評価においては、銀行や投資機関が融資・引受や投資を通じて関与している各森林リスク産品ごとに得点が付与されます。したがって、各銀行や投資機関には、6種類の産品(牛肉、パーム油、紙パルプ、天然ゴム、大豆、木材)ごとに最大6つの得点が付与され、さらに総合評価も行われます。この総合評価は、「森林と金融」データベースの融資・引受および投資データ(対象期間:2016年1月~2024年9月)を用いて算出されるものです。各金融機関について判明した融資・引受および投資の総額を基に、各産品に配分される割合が計算され、これらの割合と各産品ごとの方針評価の得点を組み合わせることで、各金融機関の総合評価が算出されています。「森林と金融」ウェブサイトで提示されたデータや評価は、当該金融機関や顧客企業から情報提供や承認を得ているものではありません。データや評価について、正確かつ客観的に調査・提供できるように努力していますが、完全な正確さを保証することはできません。これは特に、金融機関と森林リスク部門の顧客企業が重要な財務情報と企業情報を記録する方法に一貫性と透明性がないためです。金融サービスの情報元に曖昧さがあった場合、本ウェブサイトの作成者は慎重な評価を行います。その結果、実際の資金提供額よりも過小評価される可能性があります。作成者は、何らかの誤りが確認できた場合にはできるだけ早く修正することとします。
「森林と金融」データベースおよび銀行の方針評価:更新記録
2016年9月:森林リスク部門の生産と一次加工活動のために50社に提供された金融サービスを評価し、銀行の方針評価とデータベースの初版を発表。
2017年6月:データベースを180社以上に拡大。取引と製造を含めた森林リスク部門のサプライチェーン全体をカバーするように方法論を改訂。
2018年12月:データベースを更新し、対象企業を190社以上に拡大。更新されたESG(環境・社会・ガバナンス)評価基準に基づき、30行以上の銀行の方針評価を完了。
2019年11月:データセットを更新し、100社以上の企業について2019年8月までの資金提供情報を反映。
2020年9月:データセットを更新・拡大し、東南アジアに加えて、中央・西アフリカおよびブラジルをカバー。新規データセットには牛肉と大豆の2部門を追加し、300社以上の大手森林リスク産品企業を対象とした。
2021年6月:方針評価を更新・拡大し、東南アジア、中央・西アフリカおよびブラジルの森林リスク産品企業に資金提供を行う最大手金融機関50社をカバー。債券および株式の保有データを更新し、2021年4月時点の保有状況を反映。さらに、アリコープ社の大豆事業、ヌトレサ社の牛肉事業を追加。カーギル社およびミネルバ社については、牛肉事業の対象範囲をブラジル国外へ拡大し、アルゼンチン、コロンビア、パラグアイを追加。全てのトレーダー企業に関して、大豆事業の対象範囲をアルゼンチンおよびボリビアまで拡大。
2021年9月:資金提供データセットを更新し、2021年9月までの融資・引受データと2021年6月までの投資データを反映。さらに、150件の新しい方針評価を追加。
2022年4月:東南アジア、中央・西アフリカ、ブラジルで事業を展開する鉱業企業22社への資金の流れに関するベータ版データセットを公開。
2022年6月:投資データを更新。債券・株式保有データは2022年3月時点の情報を使用。
2022年8月:データベースを更新し、2022年6月更新時の誤りを修正。
2022年10月18日:農産品に関して、金融機関200社の融資・引受および投資データ、ならびに方針評価を全面更新(鉱業データは対象外)。
2022年10月26日:更新を実施し、「銀行/投資機関地域」に関する情報不足の取引を修正。
2022年11月16日:更新を実施し、「グループ/投資機関親会社」の属性設定を一貫性のため修正し、メコン川下流域に関する追加データを反映。
2023年12月:農産品に関して、金融機関200社の融資・引受および投資データ、ならびに方針評価を全面更新(鉱業データは対象外)。
2024年10月:農産品に関して、融資・引受および投資データを全面更新(鉱業データは対象外)。
2025年9月:移行鉱物の採掘企業への資金の流れに関するデータセットを公開。世界中の鉱物採掘セクターで事業を展開する調査対象企業グループ130社のうち、111社について融資・引受および投資の流れを特定。また、鉱業セクターに関与する最大手金融機関30社の方針評価も公開。
「レッドライン」評価は全世界を対象とする一方、2018年に行われた「森林と金融」の評価は東南アジアで事業を行っている企業を対象としています。「レッドライン」評価は紙パルプ業界に焦点を当てており、「森林と金融」の評価は4つの森林リスク産品(パーム油、紙パルプ、木材および天然ゴム)を対象としています。レッドライン評価は、銀行の方針評価にスコアを用いていませんが、「森林と金融」ウェブサイトはスコアを用いています。
「森林と金融」での方針評価は、森林破壊、人権および労働者の権利、伝統的な暮らしをする人々の権利の保護についてより詳しい基準があります。一方、「フォレスト500」の基準は、方針の対象範囲、金融機関全体での方針実施およびその報告に関してより詳細な基準があります。
「フェア・ファイナンス・ガイド」では、14カ国の金融機関のみ対象としています。これにはインドネシア、ブラジル、日本を拠点とする金融機関が含まれますが、森林破壊リスク産品への資金提供に銀行が大きく関わっているマレーシアや中国、米国などは含まれません。「森林と金融」の方法論は「フェア・ファイナンス・ガイド」を参考にしたものですが、「should(やるべきこと)」よりも「shall(規則=shouldよりも強い)」が多くなっています。また、生物多様性の保護や労働者の権利擁護、国際協定の遵守、税制については、「森林と金融」の方が詳しい基準があります。「フェア・ファイナンス・ガイド」にはFSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)認証に対する要件が含まれていますが、「森林と金融」では「信頼できる認証」を求めています。企業が実施すべき報告およびCoC(Chain of Custody:加工・流通過程)の方針に関しては、「フェア・ファイナンス・ガイド」の基準の方が詳細です。
The data on the Forests & Finance website is largely sourced from Financial Databases such as Bloomberg IJGlobal and TradeFinanceAnalytics. However, the values on the forests and finance site are adjusted per sector and per region. Companies with business activities outside of the forest-risk sector had recorded amounts reduced to more accurately present the proportion of financing that can be reasonably attributed to the forest-risk sector operations of the selected company. Companies with operations in multiple regions also had recorded amounts reduced to more accurately present the proportion of financing that can be reasonably attributed to the forest-risk sector operations of the selected company in a specific region (see Adjusters).