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コリンティガ・フタニ
顧客企業の概要 – コリンティガ・フタニ (Korintiga Hutani)
コリンティガはインドネシアの中央カリマンタンで約10万ヘクタールの事業許可地域を有するパルプ材会社で、韓国とインドネシアの会社コリンドと、日本の王子ホールディングスとの合弁会社です。両社は共に出身国における環境に優しいイメージを醸し出しています。しかし両社は共同で、または個別に、この事業や東南アジアでの他の産業型プランテーション事業による重大な社会的・環境的リスクに直面しています。
コリンティガ・フタニの資金提供者
2012年、国際協力銀行(JBIC)と三井住友フィナンシャルグループはコリンティガと4,000万ドル(40億円)の融資契約を締結しました。融資はインドネシア、中央カリマンタンの木材チップ製造に充てられ、JBICによると、融資は、日本企業による長期的な木材チップ供給を確実にするための支援でした。[i]
王子グループの資金提供者
王子グループは、2010年から2015年の間に主に、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループから貸付及びクレジット引受業務において、8億2,900万ドル(829億円)(セクター調整済の総計額)の資金提供を受けています。
コリンドの資金提供者
コリンドは非公開企業であるためその資金調達に関する情報は入手が困難です。しかしインドネシアのBNIは、2012年のビジネスフォーラムのプレゼンテーションでコリンドをそのトップクラスのクライアント企業の一つとして位置づけていました。[ii]
主なサプライチェーンとのつながり
王子グループは、コリンティガからの木材チップの主要な買い手です。2012年のJBICによる貸付契約では、コリンティガは木材チップ約53万BD(絶乾重量)トンを製造し、その全てを王子グループの企業に輸出することとなっています。
コミュニティの権利侵害
コリンティガの植林事業は、下流のコミュニティの洪水増加、村民の移住、農民コミュニティとの土地紛争と関係があります。[iii]
王子グループとコリンドという大きな企業グループにおいては、それぞれ地域社会との紛争に関与したことがあります。王子はコミュニティとの協議の基準に違反したために、2015年にラオスの植林地に与えられていたFSC認証を取り上げられました。[iv] コリンドは、現地の同意なしにコミュニティの土地を取り上げ、またアブラヤシ農園のための土地の剥奪に抵抗する地域社会に対する恣意的な逮捕や脅迫に関係していることから、インドネシアの北マルク州のコミュニティの権利侵害を非難されています。[v]
火の使用
コリンティガの操業区域で事業許可証は、同社の産業用パルプ材操業区域での火の使用により、インドネシア政府により2015年12月に3ヶ月間の間、停止されました。[vi]
エイドエンバイロンメント(Aidenvironment)(訳注:オランダに本部を持つNGO)の衛星の分析によると、コリンドは北マルク州とパプア州で新たなアブラヤシ農園のための操業地域全体の土地や森林を伐採するために組織的に火を使用していました 。[vii] インドネシアでは、開墾や植林の準備のために火を使用することは違法です。
熱帯林と泥炭地の破壊
コリンティガは、中央カリマンタンのパルプ用の事業許可地域で、2014年以来、熱帯林を少なくとも1,000ヘクタール伐採しました。[viii]
衛星画像分析によると、コリンドはパプア州と北マルク州の事業で2013年以来、泥炭地を含む熱帯林30,000ヘクタールを伐採しています。[ix] この伐採のうちパプア州での12,000 ヘクタールは原生林の伐採でした。2016年6月の時点で、熱帯林の75,000ヘクタールはコリンドのパプア州の事業許可地域の中で、差し迫った破壊の危険にさらされたままです。
[iv] Business & Human Rights Resource Centre & LPFL, 2014
[v] Rainforest Action Network field investigation 2016 & TuK INDONESIA, 2016